ベッドメイキングをしていたとき、息子がベッドサイドにきて「登って、いいかな?」って言った。
とってもかわいい言い方だったけれど、せっかく綺麗に仕上げたベッドを荒らされたら困るので「ダメだよ」って言った。
歯医者さんで、ウルトラマンのフィギュアを気に入った息子が「持って帰って、いいかな?」って妻さんに聞いた。
言い方はとってもかわいいんだけれど、やっぱりダメなものはダメだった。
どうやら息子は、きっとダメだろうと思っていることについては「いいかな?」って可愛く聞いてみることにしているようだ。
思わず許してしまいそうな言い方だから、油断しないように要注意だ。
夜、子供たちの眠る支度が整ったので、妻さんが先にベッドに入って寝かしつけてくれることになった。
帰宅した僕はご飯を食べてお風呂に入った。
お風呂から上がって寝室を覗いたら、息子が動いている様子だったので、しばらく待つことにした。
子供たちを寝かしつけてからも、家事があるので、妻さんを起こすことになっている。
しばらくして、もう寝ただろうと、また覗いたら、今度は息子がムクッと起き上がった。
妻さんの努力を台無しにしてしまった。
今度は僕が寝かしつけすることになった。
こんなに寝ないのは初めてだった。
実は、昨日は雨が降ったので、子供たちは家でおとなしく過ごしたようだ。
春休みなので幼稚園もお休みだ。
お昼寝もたっぷり、できたらしい。
息子は僕が横に来てから、一段と落ち着かない様子。
僕の目が暗さに慣れてきたら、なんと息子は下唇を噛んで涙をこらえていることがわかった。
「おかあさんと一緒がいい」
結局、妻さんが家事を片付けて来てくれて、ギブアップした僕は妻さんに再度バトンタッチ。
そしたら、二人ともようやく眠りについた。3時間はかかった。
「台無しだよ」って、娘が急に言い出した。
僕は何が台無しなんだろうと考えたがすぐには思い当たる事がなかった。
「来てよ、来てよ」と僕をトイレに連れていこうとする。
「台無しなんだから!」
一体、何がそんなにダメになってしまったのか。
娘が作った何かを僕が知らずに壊してしまったのか、と不安にもなった。
でも、それにしては、娘は嬉しそうだ。
トイレが関係するようだから「大が無い」ってことで、おしっこだけって言いたいのかな、とも思った。
娘はトイレで「ほら」と言いながら便座に乗って見せた。
それでもわからない僕を見て、娘は得意気に「ほらほら、台無し」と、指で壁に立て掛けたままの折り畳み式の踏み台を指差した。
やっと分かった。
なるほど、台を使わずにトイレができるってことだ。
「台無し」に間違いない。
僕の想像では、娘はどこかで「ダイナシ」と言う言葉を聞いて、台が無いってことだと直感的に理解して、使ってみた、と言うわけだろう。
得意気な娘が愛らしく感じた。