息子の歯ブラシへの抵抗が激しい。
まだ歯の生えていない頃から歯ブラシをハミハミさせて慣らしていたのは、娘と同じなのに、娘の3倍は抵抗していると思う。
まず、頑として口を開けない。
笑わせたり、僕の口を開けて見せたりして、なんとか、がっちり閉じた口をゆるませる。
歯ブラシが口に入っても、すぐに舌が出てきて押し出される。
舌を避けてなんとかシュカシュカしようとすると、今度は歯ブラシを噛んで動きを封じる。
なかなか手強い。
しつこくしていると、とうとう大泣きしてしまう。
大泣きした方が口が開くから、僕としては磨きやすくはなるのだけれど、かわいそうだ。
なんとかご機嫌な歯みがきの方法を考えないと。
息子がヨロヨロと歩くようになったので、写真や動画を撮りたいのだけれど、カメラを向けるとなぜだか、ストンと尻もちをついてしまう。
「あ、歩いてるよ!」って気がついて、慌ててカメラを構えると、ストン。
撮った動画を見たら、歩けずに尻もちをつくシーンばかり。
「もっと歩けるのに〜」となんだか悔しくなってしまう。
しばらくカメラを回し続けてみたら、いつまで経っても歩かないから、何のオチもない動画ができてしまった。
娘が歩き始めた頃の動画はバッチリ残っていて、とっても可愛いのに。
今のヨロヨロのうちに撮っておきたい。
娘の前髪の散髪に、僕一人で挑戦することになった。
妻さんは僕に「僕が思っているよりも2センチはバッサリ切って」と念を押すように言った。
いくらなんでも2センチは切りすぎだと思うけど、僕の性格を見透かしてのアドバイスだ。
僕は内心では「短くしすぎて変になるよりは、安全策として長めでいい」と思っていたから、さすがは妻さんだ。
シートを敷いたり、DVDをつけたり、準備までは順調だった。
いざ、切るときに娘がDVDを観るために微妙に顔を傾ける。そのせいだけではないけど、髪が思うように切れなくて、「動かないで!」とイライラしてしまう始末。
最初はちょびちょび切っていたけれど、妻さんのアドバイスにイライラも加わって、だんだん大胆になっていった。
出来上がりは、自分では納得で、妻さんにも合格点をもらえて、結果オーライ。
でも、今度切るときは、最初に大胆に、仕上げはちょびちょびでいこう。
まだ遊びたくて抵抗する息子を、抱き抱えてお風呂に連れていったとき、僕は何気なく息子の顔を見つめてみた。
すると、成長すれば見られなくなる顔だという感情が込み上げてきて、まじまじと見つめてしまった。
見つめれば見つめるほど、随分成長したと気が付くこともあって、もっともっと見つめてしまった。
そういえば最近はよく見ていなかったかも。
娘や息子の存在に慣れてしまっていたかも。
写真を撮ることで安心してしまっていたかも。
「はっ」として、もっとよく見ておかなければ、と思った。
妻さんの友達から息子に譲ってもらった乗用のおもちゃのクルマ。
変型させれば手押し車になって、掴まり立ちの息子にはぴったりだ。
試しにクルマにして、乗せてみた。
すると、なぜだかバックし始めた。
前進は出来ないようで僕が押してあげた。
そして、またバック。
そういえばハイハイもバックが先だったね。と妻さん。
たしかにそうだった。
なんでかな。