バンボチェアに座らせているときに、触りたいモノに手を伸ばす赤ちゃん。
健気なところが可愛くもあり、絶対に触りたいという頑ななところが逞しくもある。
そういえば初めてだった。
3歳3ヶ月の娘が、絵本でよく見ていた、皮付のぶどうを初めて食べた。
食べ方がわからず戸惑う娘の口にぶどうを押し出してあげた。
「おいしい」
娘の感想はいつもシンプルでストレート。
初めて味わうぶどうはどんなだったろうか。
思ったより酸っぱかったかな。
今度は自分で食べてみるけど、皮があって上手く食べられない。
確かにぶどうのような食べ方は、他の食べ物ではしないなと、今になって気がついた。
僕がどうやって教えたらいいかなと、考えてるところに、妻さんがストローみたいに、って教えていた。
そしたら娘は、上手に食べられた。
なるほど。妻さんさすがだ。
美味しいのと、上手く食べられたのと、で娘は笑顔いっぱいだった。
妻さんに買い物に行ってもらっている間、僕は車で子供たちと待っていることになった。
助手席では遊び疲れた娘が首が痛くなりそうな格好で眠っていた。
赤ちゃんは僕の膝の上に座らせていた。
初めての運転席にとてもご機嫌で、ハンドルを握ったり叩いたり。
運転でもしてる気分なのかな。
思わず写真を撮ったら、ハンドルが大きく見えて、なんだかトラックを運転しているみたいになった。
妻さんと相談して、娘の長かった髪をショートにしたとき、僕は女性の髪のことは全くわからなかったけど、何だか特別な感じがした。
美容院に行く前の日、会社からの帰り道には、やっぱり切らない方がいいかな。って本気で考えた。
もったいないとか、もっと長くなったところを見てみたいとか、いろんな気持ちが出てきた。
僕から「切ろうか」って言い出したから、こんな気持ちになったのかもしれない。
娘がもう少し大きくなったら、自分で決めればいいから、たぶん今だけ味わえる気持ちだと思う。
でも、娘が自分から切りたいって言ったとしても、「まだいいんじゃない」とか何とか言いそう。
やっぱり何だか特別なことだと思う。
僕が会社で飲み会などがあるときは妻さんが子どもたち二人のお風呂と寝かしつけをしてくれる。
先月のカレンダーを振り返ると僕が意識しているより沢山あった。
それでも身体を気遣ってくれる妻さんに。
甘えすぎないように。父として。
いつもありがとうの気持ちを忘れないように。